このページでは、日本酒の作り方について説明したいと思います。とっても長い行程を経て作られる日本酒ですから、説明も複雑になってしまうのですが、なるべくわかりやすく書けるように頑張ります。

まずはじめに、日本の酒税法上では、日本酒(清酒)は「米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの」「米、水及び清酒かす、米こうじその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの」「米、水及び清酒かす、米こうじその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの」と定められています。

すでにややこしいのですが、簡単に言えば日本酒とはお米を発酵させて漉したものなんですね。これが一番シンプルすぎる、日本酒の作り方の説明なんです。

でも、それでは意味がわからないので、やっぱりきちんと説明していきますね。

日本酒製造の基本工程

普通お酒作りの工程を説明しようとすると、お米の段階からお酒になるまでを順番に説明するのですが、ここではまず、出荷されたお酒からどんどん、製造工程を”逆再生”のようにして、原材料であるお米やお水まで辿る系図を見ていただこうと思います。

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なにやら専門用語がたくさん出てきますね(汗) 順番に説明していきますので、安心してください!

ひとまず上から順番に、「瓶詰め」から「上槽」までを説明します。

howtomakesake04a出荷前の最終工程として、日本酒は瓶詰めされます。簡単な作業のように思えますが、この瓶詰め時の温度管理がきちんとされていないと味が変化・劣化することもあり、蔵によっては瓶詰めの工程にも専用のシステムを導入しています。

例えば『獺祭』は、お酒を冷たくした状態で瓶に詰め、その後に「火入れ(後述)」と冷却を急速に行うそうです。この工夫が、火入れ中の香りの飛びを減らし、瓶の中に香りを凝縮させることに繋がるのだとか。

howtomakesake04b瓶に詰められる前の日本酒は、タンクに貯蔵されています。ここで、お酒の味を整えるために「加水(お酒に水を加える事)」が行われ、味やアルコール度数の調整がされます。

ちなみに、この加水が行われないお酒も発売されており、それがいわゆる「原酒」というものです。加水をしないという事で、当然原酒のアルコール度数は高くなります。

この原酒が、近頃好んで楽しまれています。例えば「無濾過・生・原酒」で有名な『風の森』などがそれです。

howtomakesake04c貯蔵前の日本酒には、火入れという作業が行われています。火入れとは、お酒を60度から65度程度に温めるという意味です。火入れをすると、お酒の中で生きていた酵素の活動が止まるので、お酒の劣化を抑え、酒質を安定させることができます。

一方、火入れしないで出荷されるお酒を「生酒」と言い、これが好きだという人もいます。先ほどの風の森もそうですし、とにかくたくさんの生酒が親しまれています。

それから忘れちゃいけないのが、「スパークリングにごり酒」というような製品の多くは、火入れしないで出荷されるために、酵素が瓶の中で活動し、その結果炭酸が生まれたという商品です。詳しくは『日本酒の「にごり酒」ってなに?』をごらんください!

howtomakesake04d火入れ前の日本酒は、ろ過されています。ろ過とは、お酒の中から細かい余計なものを取り除く作業のことです。活性炭素を使って余計なものを取り除く「炭濾過」と言われる手法と、シンプルにフィルターを通す「素濾過」という手法があります。

しかし、ここでもろ過しないことがひとつのお酒のジャンルとなっており、これは「無濾過」と呼ばれます。こちらも風の森がそうですし、他にも例えば『田酒』の蔵元である西田酒造店の西田社長は、「米の磨きが悪かったり、ヒネた酒はもう病気だと思います。それを治すための炭濾過だから、薬。化粧というのは、箱やラベル、瓶の形状にこそ使うべき言葉」だと話していて、単濾過をしないことにこだわりを持っています

howtomakesake04eろ過前の日本酒は、おり引きをされています。おり引きとは、後述する「上槽」の過程で取りきれなかったかす=おりをお酒の中に沈殿させ、上の方の綺麗な部分だけを汲み取ることを言います。

howtomakesake04fおり引き前の日本酒は、上槽されています。上槽とはつまり、もろみ(後述)を漉して液状のお酒のみを絞ること。別の言い方をすれば、お酒になる前のドロっとしたものをフィルタリングして、サラサラにすることです。

ちなみに、ここでフィルターに残った方の塊が「酒粕」です。

ここからは、いよいよ酒造りの本丸「仕込み」パートの説明に入っていきます!

日本酒の仕込み作業

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日本酒の仕込みの作業とは、「蒸米(掛け米)」「水」「酒母」「麹」を混ぜて「もろみ」を作る工程のことです!

ここで鍵となってくるのが、「酒母」と「麹」。「麹」に含まれる「麹菌」が「蒸米(掛け米)」の中の「でんぷん質」を「糖」に変えていきます。そして、変換された「糖」を「アルコール」に変えるのが「酒母(の中に含まれる酵母)」の役目。

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お米の中のでんぷん質を糖に変える工程と、そこで生まれた糖をアルコールに変える工程のふたつが同時に行われるため、この発酵方法は「並行複発酵」と呼ばれています。この発酵技術は、世界でも他に例のないほど難しいものなんです。

ちなみに、よくテレビなどでやっている、お酒のタンクに杜氏さんたちが棒を突っ込んでかき回しているあの光景が、この仕込み作業にあたります。

動画をよく見ると、18秒あたりでお米が追加されているのがわかります。

通常仕込みは3段階で行われ、それぞれの工程を「初添(はつぞえ)」「仲添(なかぞえ)」「留添(とめぞえ)」と呼びます。それぞれの工程で「蒸米(掛け米)」「水」「麹」が加えられることで、徐々にお酒の元である「もろみ」ができてくるのです。この動画の様子もきっと、仕込み中のもろみに掛け米を加えている様子なのでしょう。

なお、この3段階の仕込みでは、それぞれの工程に1日を要し、初添と仲添の間には「踊り」と呼ばれる休息の1日が設けられるため、合計で4日間の仕込み作業となります。

ちなみに、仕込みにおいてどの程度発酵を進めるかが『にごり酒とは、アレをしていない日本酒のこと!高い栄養価と飲みやすさが人気の秘訣!』という記事で学んだ日本酒度の高低に関わってきます。

酒母(しゅぼ)づくり・麹(こうじ)づくり

仕込みの工程で「酒母」と「麹」というふたつの専門用語が登場しましたね。これらは一体、何者なのでしょうか?

麹作り

麹は、仕込みにおいてお米が持つ「でんぷん質」を「糖」に変換するという役割を担います。また、酒母作りにおいても同様に「でんぷん質」を「糖」に変えます。とにかく、お酒作りにおいてとても重要なのが「麹」なのです。

では麹がどのようにして作られるのか。

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まず蒸した「麹米」に「麹菌」を混ぜ、布に包んで1日〜2日程度寝かせて作られます。その間、温度の調整や環境変化への対応を常に行わなければならず、これを人間の手で行う場合は非常に手間のかかる行程となります(今は自動製麴機というものもあるそうです)

なお、ここまでに「麹米」「掛け米」という言葉も登場しました。いずれもお米を表す言葉で、お酒によっては両者に同じお米が使われますし、お酒によっては違うものが使われたりもします。100%同じであれば良いのですが、消費者として面倒なのは違うお米を使った場合。

もし、それぞれに違ったお米を使った場合、50%以上使用したお米の方をラベルに記載するというルールがあるそうです。したがって、「人気の”山田錦”で作られたお酒」とひとくちに言っても、それが100%山田錦なのか51%山田錦なのかは銘柄によるのです。

そして、通常「掛け米」の方に多くのお米を使う為、別々のお米を使う蔵の中には、重要な「麹米」にのみ良いお米を使い、大量に使う「掛け米」には少し等級の下がるお米を使うというところもあるのだとか。

スペックだけで味が決まるわけではありませんが、消費者としてはちょっと注意しておきたいです!

酒母づくり

次は酒母づくり。「酒の母」と書く酒母は、お酒の大元と言っても過言ではありません。仕込みにおいては、糖をアルコールに変換する役割を果たしますし、実は酒母の時点でアルコール化しています。

というのも、酒母には「蒸米」「水」「酵母」そして「麹」が含まれます。この内、糖をアルコールにするのは「酵母」の働きによるもの。よって「蒸米」を「麹」によって糖化し、それを「酵母」によってアルコール化しているこの酒母づくりの工程が終わると、すでに酒母はアルコールになっていて、かつその中で酵母が生きている状態ということになります。

わかりにくいですね(苦笑) 少し古いですが、良い動画があるのでごらんください!

動画ってすごい!

では最後に、お米を蒸すまでの工程を逆再生していきます!

蒸米〜精米

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howtomakesake04g麹米も掛け米も、仕込みの工程に移る前に蒸されます。これを「蒸米(じょうまい)」と呼びます。

これは、蒸し時間の長さによって最終的なお酒の味が変わるため、細心の注意を払って行われている工程です。

もちろん、日本酒によって変わりますが、約1時間程度お米を蒸し上げ、外側が硬めで内側が柔らかいという状態に仕上げていくのが理想だと言われています。この理想の状態のことを専門用語で「外硬内軟でさばけのよい蒸米」と言います。

蒸し終わったお米は広げられて、混ぜながら冷まされます。

howtomakesake04hお米を蒸す前は、「洗米(せんまい)」と「浸漬(しんせき)」をします。普通にご飯を食べる時のように、お米を洗って表面のぬかを落とし(洗米)、その後でお水に浸けるのです(浸漬)

浸漬をすることによってお米は水分を吸います。お米に吸わせる水分の量が、最終的にお酒の味を左右する一要素となるため、この工程は各蔵の杜氏さんによって徹底的に調整されているそうです。

howtomakesake04iそして最初の工程に戻り「精米(せいまい)」です。これも基本的な考え方は普通の食べるお米と同じですね。お米を、玄米の状態から白く白く磨いていくのです。

ただし普通のお米と違うのは、普通のお米の場合、玄米を90%程度の大きさまで磨くと白米として出荷されるようになります。しかし、お酒用のお米の場合はこれをさらに75%〜50%以下といった範囲にまで磨いてしまいます。

この磨き具合(磨いて残った米の部分の率)を「精米歩合」と言いますね。40%以上磨いたもの(精米歩合60%)は「吟醸」と呼ばれ、50%以上磨く(精米歩合50%)と「大吟醸」と呼ばれます。この辺りについて、詳しくは『吟醸酒とは?純米酒とは?ややこしい”特定名称酒”を徹底解説!』をごらんください。

では、なぜそこまで磨くのか?

それは、お酒造りにおいて重要となるデンプン質が、お米の中心部分に集中しているから。逆に外側には、タンパク質などのお酒には不必要とされる要素が含まれています。

そのため、基本的にはこの精米歩合が低いほど、お米のいいところだけを磨き抜かれている、質の高いお酒だと考えられています。

“あの”有名な日本酒ができるまで

さて、ここで見てきたのは日本酒の基本的な作り方だけです。実際には各蔵によって様々な技が各工程にたくさん詰まってきます。それが味の違いにつながるのです。

当然、それらの詳細は門外不出が基本ですが、大手の酒造になるとウェブサイトでお酒の製造工程を一部公開しています。

獺祭なんかは工場見学もあります(合わせて500円で、テイスティングもできます)し、日本酒好きなら一度、自分の目で確かめてみたいですね。

DIY日本酒(どぶろく)の作り方

もうひとつこのページでご紹介したいのが、どうやったら自宅で日本酒が作れるのか?というお話です。

そもそも日本国では、酒税法という法律によって自宅でお酒を作ることは認められていません。これは過去に、酒税が国家の収入の大部分を占めていた時に、その税収を減らさないように制定されたのだという説をネットで見ましたが、とにかく2015年の現在でも自宅でお酒を作ることは禁止されています。

しかし、Googleで検索すれば、日本酒の一種であるどぶろくの作り方は簡単に探し出すことができます。

読んでみてわかりやすかったレシピを掲載していたのは、例えば『自家製どぶろくの作り方』『ペットボトルで作る簡単ドブロク』などです。

いずれのレシピでも、私自身は作ったことがありませんが、もしどうしてもという方は自己責任で試してみてくださいね!

参考:
酔っぱライタードットコム – 造り手訪問/田酒
日本酒ができるまで/東京都酒造組合
日本酒ができるまで~「日本酒の製造工程」|オエノングループ
清酒 世界一統-日本酒ができるまで
段仕込み – Wikipedia
獺祭の蔵元|旭酒造株式会社
自家製どぶろくの作り方