料理酒と日本酒の違いを、私は最近まで知りませんでした。というか、興味を持って調べたことがなかったんですね。

でも、法律で「お酒を酒屋さんでしか売ってはいけない」と定められているカナダのバンクーバーに来た時、スーパーに行って日本の料理酒が売られているのを見た時に「あれ?料理酒はよくて日本酒はダメなの?何が違うの??」と混乱しました。

このページを見ていただいている方はきっと、その時の私と同じような疑問を持たれている方だと思います。ここでは、料理酒と日本酒の違いについて、なるべくわかりやすくご説明します!

料理酒にもバラエティが産まれてきている!

まず、最近話題の、いろんなコンセプトの料理酒を見てみましょう。今回リサーチしていて知ったのですが、最近では色々なコンセプトを持った料理酒が登場しているようで、それはそれは面白いことになっています。

例えばサンフーズの『純米料理酒』は、その名の通り純米(お米と米こうじ)と塩だけで作られた添加アルコールや添加物の加わっていない料理酒として人気です(「純米酒」の定義について気になる方は『吟醸酒とは?純米酒とは?ややこしい”特定名称酒”を徹底解説!』をごらんください)

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また、食塩を使っていないことをウリにしている、宝酒造の『料理のための清酒』のような商品もあります。こちらは原材料にお米と米こうじ、醸造アルコールのみを使用していて、特に塩分を気にされる方にとって重宝する商品ですね。

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別のコンセプトとして、無農薬自然栽培米にこだわった『こんにちは料理酒』という商品もあります。味はスッキリしてなく重たい味だそうで、評価が非常に高く、人によっては「みりんがいらないくらいうまみがある」と評価しています。凄く気になるので「ほしいものリスト」に追加しました。次に帰省したら使ってみたいです。

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料理酒と日本酒の違い

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さてそれでは、話を本題の料理酒と日本酒の比較、違いの話に戻しましょう。

以前私は「料理酒は飲んでも問題ないんだよね?」という質問をされたことがあります。

答えは「別に飲んでもいいけど、基本的には美味しくないし、場合によっては体に良くない」です。

というのも、料理酒と日本酒には(その種類にもよりますが)次のような違いがあります。

  1. 料理酒には塩が加えられている場合がある
  2. 料理酒には水アメ等の甘味料が加えられている場合がある
  3. 料理酒に使われる原材料のお米は、飲用の日本酒と比べて磨きが足りない場合がある
  4. 料理酒はアルコールが抑えられている場合がある

このうち1と2は、主に料理の味を整えるために加えられています。しかしそれだけが理由ではなくて、塩や甘味料を加えることで飲用できないようにし、酒税法上の日本酒の領域外の商品として販売できるようにするという裏事情もあるのです。つまり安くてこれらのものが加えられている料理酒は、飲めないようにされているからこそ料理酒として存在できるのです。

また3は、飲用のお酒としては磨きが足りないお酒も、料理用としてはその方がかえっていい場合があるのです。というのも、お米を磨けば磨くほど、出来上がるお酒は雑味のない味わいになりますが、雑味がなくなると料理に複雑な味を加えることができなくなってしまいます。料理の場合、雑味そのものがパンチになる場合もあるのです(お米を”磨く”ことについてもっと知りたい方は『日本酒の作り方!全11工程でお米からお酒までを逆再生!』をご覧ください)

4は、1と2の裏事情と同じで、料理酒たるためにアルコールを抑えるという方法です。また、近年では宗教的にお酒を飲めない方々のために作られるアルコールなしの料理酒というものもあります。

以上のような違いが料理酒と日本酒の間にあり、それらの違いが料理酒を料理酒としているため、料理酒は基本的に飲まないほうが良い、という結論になるのです。

料理酒と日本酒、料理にはどちらを使うべきか?

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一方で「料理には料理酒を使わなければならない」というわけでは決してありません。高くてもよければ、普通の日本酒を使うのも良いでしょう。

ただし、日本酒を選ぶ際はあまり高級なものではない”方が”良いと考えられます。

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先ほど挙げた4つの”違い”のうちの3で触れたように、例えば吟醸酒や大吟醸酒のように、生産の過程でお米をたくさん削ってしまったお酒は、飲むお酒としては雑味のない上品な味になりますが、料理用としてはお米に含まれていたはずの旨味まで削り取りられているのです。そういうわけで、日本酒を料理に使う場合には、安い普通酒が良いでしょう。

なお、女性用掲示板『ガールズちゃんねる』では、料理用に日本酒を使う方の多くが「紙パック用の日本酒を使っています」と言っていました。料理に使う料理酒以外の選択肢のうち、最も値段と味のバランスが良い選択肢なのかもしれません!

日本酒を料理に使う、あれやこれやなバリエーション!

そもそも「料理に日本酒を使う」と言っても、料理酒をわさ〜っと加えるのだけがその例に当たるわけではないですよね。他にどんなものがあるでしょう?

  • 酒蒸し
  • シーフードの酒蒸しは、美味しいですよね。特にアサリの酒蒸しなんて、私は大好物です!

  • 日本酒鍋・しゃぶしゃぶ
  • 日本酒を鍋のスープにしてしまうという料理もあります。また、しゃぶしゃぶするためだけに日本酒を使う贅沢な調理方法もあります。

  • 煮切り酒
  • テレビ番組でイタリアンのシェフがやっているような、アルコールを煮立たせてそこに火をつけ、アルコール分を飛ばすやつ、あれの日本酒バージョンが煮切り酒です。家でやったことがないのでどうなるのかわかりませんが、多分旨味が凝縮されるのでしょう!

  • 煎り酒
  • 日本酒に梅干しを入れて煮立たせることで、醤油の代替品として江戸時代に使われていた調味料だそうです。味のパンチが無いそうですが、これ凄く作ってみたい。

こうしてみると、料理酒も奥が深いですね。

ここで説明したのは、あくまで基本的な料理酒と日本酒の違いについてです。結局はどの選択肢が舌や身体に合うかが大事ですので、いろいろ試すしかないなあと思いました!

参考:
日本酒と料理酒の違いは?代用しても大丈夫? | 波乗り好奇心
料理酒使ってますか? | ガールズちゃんねる – Girls Channel –