「日本酒が海外でも人気」というようなニュースを時々見ます。そう言われるとなんとなく嬉しい気がするのですが、実際にどう人気なのかはあまりピンときません。
そこで今回は、海外からの日本酒評価について、どの国でどんな人気があるのか調べてみました。
国別輸出額ランキング
国税庁の発表によると、平成25年の日本酒(清酒)の輸出額は、合計105億2400万円で、これは輸出額39億円だった平成15年の約2.7倍の規模だそうです。まだピンときませんが、成長していることは間違い無いですね。
なお、ビールは約54億円分の輸出、ウィスキーは約40億円分の輸出なので、それらと比べて日本酒は、2倍近い額の輸出を毎年行っているわけです。
では、輸出された日本酒はどこの国へと送られていくのでしょうか?
日本酒の主な輸出先
同じく国税庁の発表によると、次のような順番になっています。
- アメリカ合衆国:38億7300万円
- 香港:17億1200万円
- 大韓民国:13億8200万円
- 台湾:5億8700万円
- 中華人民共和国:5億2300万円
- シンガポール:3億8300万円
- カナダ:2億8000万円
- 英国:2億1700万円
- オーストラリア:2億900万円209,000,000
- タイ:1億7700万円
アメリカが圧倒的に1位。2位から6位まではアジア諸国が並び、カナダやイギリスが続きます。
これを見て、日本人が多い国にたくさん輸出されているのでは?と思ったので、今度は外務省の2014年時点でのデータを調べてみると、海外に住む日本人の数は国別に次の通りでした。
- アメリカ合衆国:414,247人
- 中華人民共和国:133,902人
- オーストラリア:85,083人
- 英国:67,258人
- タイ:64,285人
- カナダ:63,252人
- ブラジル:54,377人
両者を比較してみると、アメリカへの日本酒輸出量の多さには特に納得できます。
また、中国やカナダ、イギリス、オーストラリア、タイの5か国は、日本酒輸出量でも在留日本人の数でもランキングに入っています。日本人が比較的多く滞在していることで、日本文化の浸透も進んでいることでしょう。
一方で、韓国や台湾、シンガポール、香港は、日本酒の輸出が多い国のランキングには入りましたが、在留数の多いランキングの7位以内には入りませんでした。ただし、いずれも日本との距離が物理的に近いこともあって文化の交わりは多いでしょう。
いずれにしても、日本酒の輸出先上位国には、日本でもよく聞く名前の国が並びますね。
ちなみに、海外展開が有名な『獺祭』は、2014年の段階で約20カ国への販売体制西部を整えていたそうです。
どこの国の人が、最も「sake」と検索している?
先ほどのランキングは輸出量なので、結局現地で日本人が飲んでいるのか現地の人が飲んでいるのかはっきりしません。
そこで、英語圏であるアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア限定の比較にはなりますが、Googleで「Sake」と検索した人が多い地域を調べてみました。
するとなんと、オーストラリアでの検索数がアメリカを抜いて1番多いという結果に。しかもこの傾向は2010年頃からずっと続いています。
オーストラリアへの日本酒輸出は、ランキング9位です。ビジネスチャンスの匂いを感じます。
また、いずれの国でも常にその数は増加しており、「海外での日本酒ブーム」というのもあながち間違いじゃないなと思わせてくれました。
なんで日本酒が海外で人気に?
ちなみに、近年海外で日本酒人気が高まってきた事実に対して、オーストラリア生活情報サイト『NICHIGO PRESS』では4つの考察をしていました。
要約すると、次の4つです。
- 香り高い吟醸酒が登場したから
- 英語での日本酒情報がオンラインに増えてきたから
- ワインに変わる目新しい醸造酒としてレストランに好まれたから
- 日本食が普及したから
非常に興味深い分析だと思います。
北米の日本酒醸造所
海外での日本酒人気をリサーチしていて見つけた英語記事の中に、ウェブマガジン『スミソニアン』による興味深いものがありました。
アメリカとカナダに6つ前後ある日本酒醸造所で作られた日本酒と、日本現地の日本酒の違いについて説明した記事です。
オハイオ州出身の日本酒(Sake)ライターJohn Gauntner氏曰く「多くのアメリカで作られた日本酒は悪くないけれど、日本で作られた日本酒にはもっと深みがある」のだそう。
日本の日本酒には複雑な味があり、アメリカの日本酒は複層的ではないというように説明していました。
ただし、アメリカの日本酒醸造も発展中だそうで、中でもオレゴン州のポートランドにある醸造所SakeOneの日本酒は、アメリカ大陸でも1番のクオリティーなのだと、同じ記事の中でサンフランシスコで日本酒専門店True Sakeを営むBeau Timkenさんは話しています。
うまさけでは、そのポートランドのSakeOneによる地酒『MOMOKAWA』と、バンクーバーのArtisan SakeMakerの地酒『Osake』をご紹介しています。
まとめ
以上、海外での日本酒評価をテーマにざっくりまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか。
私などは、海外で日本文化に好意的な国といえばフランスを思い浮かべるのですが、意外と日本酒輸出量は少ないようですね。やっぱりワインの壁が厚いのでしょうか。
参考:
輸出の動向について|国税庁
海外在留邦人数調査統計 (平成27年要約版)
グルメ 特集 | 日本酒流行の秘密に迫る | オーストラリア生活情報サイト NICHIGO PRESS | 日豪プレスが運営するオーストラリア生活の総合情報サイト
Can You Taste the Difference Between American and Japanese Sake? | Arts & Culture | Smithsonian
大人気の日本酒「獺祭」を好きなだけ飲めるようにする方法:日経ビジネスオンライン
[…] 『海外からの日本酒評価を分析してみた』ページで紹介した通り、現在日本酒は海外に輸出され、欧米でも楽しまれるようになってきています。しかし、輸出時には高い輸送量や関税もかかるため、現地のお米と現地のお水で日本酒を作ろうという動きも広まっています。 […]