お店で日本酒を頼むときに、よく見かける「一合」というサイズ。
大人のみなさんは、「合」と聞いてあのひょうたん型の徳利(とっくり)をイメージすることはできるでしょう。しかし、実際にあの中にどのくらいの量が入っているのかとか、カロリーはどの程度なのかとか、そういうことがわからず、このページにたどり着いたのだと推測します。
このページでは、一合の日本酒に隠された6つの「知っておくと得すること」をご紹介します。
実は今回、日本酒の一合という単位について色々勉強していくと、最後には日清カップヌードルに繋がりました。すべての道は安藤百福に繋がる・・・今日はそんなお話です。
1. 一合と一升と一石と
まず一合をリットルで表すと、180㎖になります。そして、その10倍である1,800㎖を一升(いっしょう)、そのさらに10倍である18,000㎖を一斗(いっと)と言い、さらに10倍である180,000㎖を一石(いっこく)と言います。江戸時代に、「加賀百万石」などと言って国の規模を表して使われた「石」はここから来ているのですね。
なお、多くの酒造会社は、内容量が少ない順に180㎖(1合)、300㎖(1.7合弱)、720㎖(4合)、1,800㎖(1升)という規格でお酒を販売しているのが一般的で、中でも歴史的背景から720と1,800の2つに偏りがちです。
一方で、例えば福井県の黒龍酒造さんなんかは、日本酒普及のために150㎖入りで400円の値段を実現した吟醸酒の『黒龍 吟のとびら』を販売して「合」にとらわれない、現代の日本人に最適なサイズでの販売を模索しています。
ちなみに、ビールだと中瓶1本で500㎖なので、単純に量で比較すれば2.8倍くらいの違いがあります。
2. 日本酒一合のカロリー
日本酒一合のカロリーを計算すると、だいたい196kcalくらいになるようです。
一方、同じお酒であるビールだと、中瓶(500㎖)で200kcalくらい。ワインだと、グラス(120㎖)で87kcalくらいになるようです。ざっくり計算すると、ビールの中瓶1本と同じくらいですか。
また、食べ物でいうとご飯は、1膳(140g)で235kcalです。
次に1日の摂取カロリーと比較しましょう。
厚生労働省のウェブページによると、成人の必要摂取カロリーは次の通り(元データに18歳が含まれているのでそのまま掲載)
- 18~29歳の男性:2,300kcal〜3,050kcal
- 18~29歳の女性:1,750kcal〜2,350kcal
- 30~49歳の男性:2,250kcal〜3,050kcal
- 30~49歳の女性:1,700kcal〜2,300kcal
- 50~69歳の男性:2,050kcal〜2,750kcal
- 50~69歳の女性:1,650kcal〜2,200kcal
- 70歳以上の男性:1,600kcal〜2,100kcal
- 70歳以上の女性:1,350kcal〜1,750kcal
必要摂取カロリーの幅は、運動量によるものです。
ざっくり言うと、若くてすごく運動する男性の場合でも、一合の日本酒を飲むと1日に摂取できるカロリーの約6.5%くらいを摂取するってことですね。少ないような、多いような・・・
3. 一合に含まれるアルコールの量
日本酒一合に含まれるアルコールの量がどのくらいかというと、22gなのだそうです(厚生労働省公表データ)。これに対して、ビールは中瓶1本(500㎖)で20gのアルコール量です。
先ほど日本酒の一合とビールの中瓶1本を量で比較すると、ビールのほうが量が2.8倍多いと書きましたが、アルコール量にすると日本酒の方が多くなるのですね。面白い!
生中だと店によってサイズが異なりますが、中瓶よりは少ないので、生中1杯よりは日本酒一合の方が「酔える」という比較もできそうです(無粋ですみません!笑)
4. 一合の日本酒は、日本人にとって理想的な飲酒量
お酒をたくさん飲む人にとっては耳の痛い話かもしれませんが「お世話になった誰かに贈ろう」という方にとっては、この情報が役にたつかもしれません!
日本酒は、どのくらいまでであれば健康的に楽しむことができるのでしょうか?
もちろん、人によってお酒への耐性が有る無しは強く左右されます。でも、目安として発表されているものがあります。
国税庁のウェブサイトのお酒のおもしろゼミ(平成19年度)というコーナーによると、まず、日本酒一合までの飲酒を「爽快期」と呼び、この状態では「さわやかな気分になる」「皮膚が赤くなる」「陽気になる」「判断が少しにぶくなる」などの特徴があるそうです。
次に、日本酒一合〜二合の間の飲酒を「ほろ酔い期」と呼び、この状態では「ほろ酔い気分になる」「手の動きが活発になる」「抑制がとれる(理性が失われる)」「体温上昇、脈が速くなる」といった特徴があるそうです。
さらに進み、日本酒を3合嗜んだ状態を「酩酊初期」と呼び、この状態では「気が大きくなる」「大声でがなり立てる」「怒りっぽくなる」「立てばふらつく」というようになります。
そして厚生労働省のウェブサイトによると、日本人男性平均の場合、一合の日本酒を2日間で飲むという飲酒量が最も死亡率が低くなるという研究結果があるそうで、これは他の国での調査でも似たような結果が出ているのだそう。
そこで厚生労働省では、1日のお酒の摂取量を日本酒なら一合まで(アルコール量にして22g)、ビールなら中瓶1本まで(アルコール量にして20g)が「節度ある適度な飲酒」であり、つまりは理想的な摂取量だと発表しています。なお、女性はこの数値よりも少なめの摂取が適量だということも、厚労省のウェブサイトに記載されています。
5. 「合」の由来
そもそも「合」の由来について調べると、Wikipediaによると、
漢代の長さの標準器であった黄鐘管(こうしょうかん)を満たす水の量の2倍の量に由来するもので、2倍であるので「合」という名称となった。
引用:合 – Wikipedia
と記載されています。
ここでさらに「黄鐘管」について調べてみると、
中国では紀元前の昔からものさしを標準化するために楽器が用いられました。黄鐘(こうしょう)と呼ばれる鐘を鋳造し、その音に合わせた律管(笛)をつくり、その長さを基準としたのです。これを黄鐘管といいます。
引用:第86回「磁石のものさし“磁気スケール”」の巻|じしゃく忍法帳|TDK Techno Magazine
という記述が見つかりました。
つまり、古代の中国で物差しとして使われた楽器に、水を2杯分満たしたものが「合」になったわけですね〜!
6. 一合のお酒に使われるお米の量
酒類総合研究所のウェブページでは、一升(1,800㎖)のお酒を作るのに必要な白米は770gだとしています。
一升 = 十合なので、つまり一合のお酒を作るのに77gの白米が使われているという計算になりますね。
うーん、77gってどのくらいの重さかわかりにくい・・・
そこでわかりやすい例えを探すと、ありました!
日清のカップヌードルの重さが、なんと77gぴったし!
というわけで、カップヌードル1杯分の重さのお米から出来るお酒が、一合ということが判明しました。
そういえば日清の「清」の字は清酒の「清」だ。「日々清らかに豊かな味をつくる」という日清食品の社名の由来は、日本酒造りにも通じるところがある!きっとこれは、何かの陰謀に違いない!
・・・くだらない冗談でタイトルからラストまで引っ張ってごめんなさい(笑)
しょうもない話は置いておいて、一合のお酒を造るのに必要なお米の量について「なるほど〜」と思われた方は、上の画像を保存して、いつか飲み会でお使いください(笑)
参考:
合 – Wikipedia
アルコール|厚生労働省
第86回「磁石のものさし“磁気スケール”」の巻|じしゃく忍法帳|TDK Techno Magazine
テーマ02 「あなたはお酒が強い人?弱い人?」|東京国税局|国税庁
酒類総合研究所 お酒のQ&A
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