新酒とは、ざっくり言ってしまえば日本酒版のボジョレヌーヴォーのこと!

造られてからしばらく蔵で貯蔵される他のお酒と違い、出来立てホヤホヤの状態で出荷されるため、新鮮な味わいが楽しめるという特徴のあるお酒です。

新酒についてもう少し詳しく知りたい方は次に進んでください。

詳しく理解するためには、まずは少しややこしい日本酒の製造年度について理解しなくてはなりません。

日本酒の製造年度

学校の年度というと、日本の場合は4月から始まって3月で終わるのが一般的ですよね。これがアメリカだと、9月から始まって8月で終わったりします。

日本の場合はビジネスにおいてもこれが同じで、3月に年度末を迎える企業が多いんですね。

日本酒にも年度という考え方があります。日本酒の年度は、7月から始まって次の6月までの1年間だと決められています。

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これがなぜ、ビジネスの年度とズレるかと言うと、お酒の製造は秋のお米の収穫をベースに造るお酒の量を決めるため、7月スタートが丁度いいから。また、日本酒の造りは冬の寒い時期に行われるために、3月で締めなくてはならないビジネスで使われる年度が都合悪いといった理由もあるそうです。

なんにせよ、日本酒の製造年度は7月から6月をもってして1年だと、昭和40年に決められ、今もそのままであるわけです。

新酒って何?

で、話を戻します。

新酒とは、この製造年度中に造られ、そして市場に出されたお酒のことです。

つまり、毎年7月以降に造られ、そして翌年の6月までに市場に出た日本酒のことを「新酒」と呼びます。

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ここで、辞書でもこの言葉を引いてみました。

その年にとれた米でつくった酒。新しい酒。今年酒(ことしざけ)。新(あら)走り。 ↔ 古酒 [季] 秋。

引用:新酒とは – 三省堂 大辞林 | 日本酒用語 Weblio辞書

ん?三省堂の『大辞林』だと、ちょっと定義が違いますね。

「その年にとれた米でつくった酒」となっています。

古酒に対する言葉で、その年に造った酒のことであり、狭い意味ではその年にとれた新米で造った酒をいう。

引用:新酒とは – 日本酒用語集 日本酒造組合中央会 | 日本酒用語 Weblio辞書

日本酒造組合中央会さんの『日本酒用語集』だと、「その年に採れた新米で造った酒」は「狭い意味」であるとしています。

まとめると、「新酒」には狭義、広義で、次のようにふたつの意味があるのですね。

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似ているようで微妙に違う、複数の意味を持つ「新酒」というワード。

奥が深い!

新酒の季節と「しぼりたて」

言葉の定義として、6月までの日本酒を新酒と言うというのは前述の通りですが、伝統的には12月や1月が新酒の季節だとされるようです。というのも、酒ナビゲーター資格のテキストブックである日本酒学講師の会監修の『日本酒講座』の21ページに、新酒は12月と1月の季節のお酒だと書いてあるんです。

ほうほう、なるほどと思ってもっと調べていると、「新酒」って言葉は実は季語にもなっているんですね。

それで、「新酒」が表す季節はいつかというと、晩秋。

晩秋というのは、今で言う11月から12月初め頃なんだそうです。

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これはちょっと、前述の酒ナビゲーターテキストブックに記載された時期からすると早めですよね。

そこには理由があるそうで、『季語と歳時記』というウェブサイトによると

昔は、新米が穫れるとすぐに造ったので、秋の季としたが、今は寒造りが主流となった。

引用:季語・新酒

なのだそうです。

歴史を感じる・・・。ますます面白い!

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なお、前述の『日本酒講座』という本では、新酒を「しぼりたて」とともに12月と1月の季節の酒だとしています。

では「しぼりたて」とラベルのついたお酒はどういう意味があるかというと、こちらは色々リサーチしてもこれという統一の意味にはたどり着けませんでした。

基本的に日本酒は、発酵したもろみをしぼって出来るものですから、「その出来立てホヤホヤの貯蔵しない状態で瓶詰めしましたよ!」という意味が込められているものだと思われます。

参考:
日本酒の新酒とは? – SAKETIMES
新酒とは – 日本酒用語 Weblio辞書
季語・新酒
晩秋 – Wikipedia