『新政』と聞いて思い浮かぶのは昔ながらの普通酒ですか?それとも、原材料にこだわり抜いて醸されたプレミアムな純米酒ですか?
きっと後者の方は、最近日本酒を好きになった方でしょう。
長い歴史のある新政酒造は、過去に一度日本酒の歴史を変えた蔵であり、今またその歴史に新たな形で名を残そうとしています。2018年の『日本酒注目度ランキング』では26位にランクインしました。
ここでは、新政について知るべき4つのことをまとめました!
1. 使用中最古の酵母・K6号酵母発祥の酒
『新政』を製造している新政酒造は、160年以上前の1852年に秋田で創業しました。当時は幕末で、じきに明治維新が起き、その際に西郷隆盛が掲げた「新政厚徳(新たな時代の政治を行う者は、まず個人として徳に厚くなければならない)」という言葉に魅せられた初代・佐藤卯兵衛(当主)が『新政』を自身の酒の名称として定めたのだそう。
そんな新政を全国で広く知らしめる酒としたのは、五代目の時に発見した酵母の秘密。当時は米にこそ美味しいお酒を作る秘訣があると考えられていたものを、蔵の酵母もお酒の味を左右するのだと解明したのだそう。
さらに、新政の蔵に付く酵母の抽出に成功し、これを日本醸造協会に寄贈し、これが「きょうかい6號(新政酵母)」と呼ばれるようになりました。この酵母は「K6号酵母」と呼ばれ、現在利用されている中で最古の酵母となっています。
2. 5代目当主の同級生は、ニッカウヰスキー創始者の竹鶴さん!
ちなみに、このK6号酵母を発見した五代目の卯三郎さんは、大阪大学醸造科にて学びました。その際、ニッカウヰスキーの創始者である竹鶴政孝さんと同級生で、当時は「西の竹鶴、東の卯兵衛」と呼ばれたのだそう。
すごい黄金世代ですね、こういうことってあるんですね。
3. かつて大火事によって、ほとんどの蔵を失った
新政は、大火事によって蔵の大部分を失ったことがあります。蔵人の日の不始末が原因で、たった3つの土蔵しか残らなかったそうです。
火事の後に行われた親族会議では、蔵を廃業する案も出たそうですが、当時戦争から帰ったばかりの6代目が頑なにそれを固辞。結果として、現代まで続く銘酒の味は守られました。
4. 改革者・佐藤祐輔さんがした7つのこと
この新政が現在また注目されているのは、現在の8代目当主である佐藤祐輔さんが登場したことによります。
彼はこの蔵をいくつものアイデアで大胆に改革。それまで普通酒を大量に生産する蔵として名の売れていた新政を「こだわりぬいた酒を醸す酒蔵」として再び有名にしました。一度根付いた世の中のブランドイメージを覆すというのは、非常にパワーのいること。恐れ入ります。
彼がしたことは本当にたくさんありますが、主に次のようなことがよく挙げられています。
- 使用する酵母を、自社でかつて開発したK6号酵母のみに統一した
- 秋田県産のお米のみを使用することにした
- 生もとや山廃というような、醸造用乳酸を使用しない伝統的な酒造りを行うことにした
- 普通種をやめ、純米酒に特化する方針を打ち出した
- 手作りでの酒造りを優先することとした
- 全国から集めた若手中心の蔵人で行う、社員醸造とした
- 設備投資により、通年での製造を可能にした
これを「核心的」だと称する声がありますが、8代目自身は日経Bizアカデミーのインタビューで「単に戦前の当蔵の酒造りに戻そうとしているだけです。現在、「伝統的」と思われている日本酒のあり方は、実は、戦後の食料事情に合わせて造られたものでしかないことが多いのです。今の方が伝統に忠実です(笑)」と語っています。
参考:
新政酒造株式会社:::蔵歴:::
西郷隆盛に学ぶ敬天愛人フォーラム21
新政酒造株式会社佐藤祐輔 | 公益財団法人 日本醸造協会
期待される「ニューリーダー」:新政 佐藤祐輔──偏差値エリート4人の酒づくり(3)|メンズファッション、時計、高級車、男のための最新情報|GQ JAPAN
新政の酒の秘密知っていますか : マイ日本酒探し
異色のキャリアで新境地を切り開く日本酒の革命児 新政酒造代表 佐藤祐輔(前編)【file008】 (3/6ページ) – イノベーター進化論 : 日経Bizアカデミー
協会系酵母 – Wikipedia
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