鍋島のことを学ぶと、「ああ鍋島って佐賀県の皆さんの想いが詰まった地酒なのかな」そう感じます。

というのも、普通「地元にこだわったサケ」と日本酒のことを称す場合には、だいたい地元のお米と水だけで作られているということを言うんですけど、鍋島はその誕生エピソードも含めてさらに一段上を行く「地酒」なんだという印象を受けたのです。

ということで、ここでは鍋島について知っておきたいエピソードを5つご紹介しようと思います!

ちなみに鍋島は私、個人的にすごく好きなお酒なので『美味しい日本酒の注目度ランキング2017!全100銘柄をリストにしてみました!【最新版】』でも勝手ながら冒頭でおすすめさせてもらっています!

その1. 圧倒的な受賞歴

『鍋島』を語るのであれば、まずはその受賞歴をお伝えしなければなりません。

鍋島は2011年のインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)日本酒部門にて、見事最優秀賞である「チャンピオン・サケ」を獲得したお酒です。206の蔵元から468の銘柄が出品された中で、まだ若い佐賀のお酒が1等賞を受賞したことで、鍋島は一躍人気になり、品薄が続くレア酒の仲間入りをしたのです。

また、全米日本酒鑑評会(The Joy Sake)でも安定して金賞・銀賞を獲得しており、海外からの評価が非常に高いと言えます。

一方で国内では、2005年から2011年間までの7年間にかけて、全国新酒鑑評会にて連続して金賞を獲得していました。

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その2. 4人の酒販店と共同で作ったお酒!

そんな鍋島を作っているのは、佐賀県の富久千代酒造です。

1987年8月、先代の事故をきっかけとして急遽蔵を継ぐことになった現当主・杜氏の飯盛直喜さん。当時は蔵を継ぐつもりもなかったそうで、これをきっかけに醸造試験所にて日本酒の作り方を学び、翌年から蔵を継ぐことになったのだそうです。

しかし当時、富久千代酒造で作っていた別のお酒は生産量が減り、蔵は危機的な状況でした。

そこで飯盛直喜さんは、先代の勧めで北九州の人気地酒専門店の田村酒店を訪問し、酒屋の意見・知見を積極的に取り入れるようになったそうです。また、地元の酒屋がもっと盛り上がるようにと、酒屋の若手経営者を連れてなんども、佐賀から北九州の田村酒店を話を聞きに訪問したのだとか。

面白いのはここから!

こうして信頼関係を築いた若手の酒屋経営者4名と飯盛社長とで、仕事後にわざわざ集い、話し合いをし、酒造りのパートナーとして行動を共にしたのだそうです。鍋島が、いかに最前線の現場でお客さんと接する酒屋さんの目線を取り入れて作られたかがわかるエピソードです。

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その3. 『鍋島』という名前に込められた思い

また、この『鍋島』という名前は、地元の佐賀新聞で一般公募したのち、150あった応募の中から選ばれたもの。その由来は、江戸時代にこの地を300年の間統治した鍋島家で、その鍋島家末裔の方の了承も受けているそうです。

蔵元の飯盛さんは、GetNavi特別編集番の『日本酒大図鑑』に対して「ブランド名も、佐賀県民ならすぐ郷土の酒だとわかるものにしています。」とコメントしています。

記憶に残りやすく、コンテクスト・メッセージ性がある名前ってなかなか簡単に浮かばないものです。センスの良い素敵な名前だと感じます。

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その4. マチとムラを繋ぐ運動

鍋島は『マチとムラを繋ぐ運動』という活動をしています。これは「都会(まち)に暮らす方々に、佐賀は鹿島で働く“ひと”に接し、ただの“客”ではなくスタッフの一員として情熱を持って活動していただきたい」という想いで行われていて、地元の子供や大人と一緒に酒米の田植えからお酒の仕込みまでを行うプロジェクト。

このプロジェクトから誕生した、酒米・鍋島で作った鍋島もあるのだそうです。

酒屋の意見を聞くだけでなく、地元住人と実際にふれあい、意見交換も積極的に行っている姿を見て、これこそ地酒の姿なのかも?と感じたのでした。

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その5. そもそも佐賀県は、日本酒消費量の多い場所!

実は佐賀県、一人あたりの日本酒消費量が九州で最も多い件なんです。

国税庁発表の資料によると、2014年に一人あたりの日本酒消費量が九州で最も多かったのが佐賀県でした。また、佐賀県が九州内で唯一全国のひとりあたり日本酒消費平均を上回った県だったんです。

日本酒が盛り上がっている場所で、その中でもトップを行く鍋島。これは目が離せません。

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鍋島は、個人的にも過去最も好きな日本酒

『美味しい日本酒の注目度ランキング2017!全100銘柄をリストにしてみました!【最新版】』というポストでもご紹介しているのですが、何を隠そう私が最も印象に残っている日本酒が『鍋島』です。

東京のお店で飲んだ『鍋島』の純米吟醸が忘れられずに、未だにさまよっています。なんせ鍋島って、なかなか手にはいらないんですよ。今私が住んでいるバンクーバーでは勿論手に入らないですし、地元に帰っても鍋島に出会えませんでした。

また、通販でも鍋島を買おうとするとかなりのプレミア価格になっているんですよね。それにこの前銀座で見た鍋島は1本20000円を超えていました。なんで全然飲めていませんが、『鍋島 純米吟醸』は間違いなく過去最高の想い出で、今後も日本帰国のたびに最優先で飲める機会を伺っていきたいお酒です。

鍋島の評判

参考:
佐賀の酒 鍋島|富久千代酒造
鍋島伝: 鍋島 Nabeshima
平成26年度成人1人当たりの酒類販売(消費)数量表(都道府県別)(PDFファイル/1,708KB)